目次
1. 「過去」と「未来」のあいだに身体が整う
サウジアラビアほど、伝統と未来が激しく交差している国はないかもしれない。
何千年も前の遺跡の隣で、空中に浮かぶ都市構想が進行している。
ラクダが歩く乾いた大地の先に、AIが制御する無人移動システムが導入されている。
──この国の風景を歩いていると、身体の時空感覚がリセットされていく。
今回は、世界遺産と呼ばれるサウジの「過去」と、未来を創造する巨大都市計画「NEOM(ネオム)」という「未来」。
その両方を巡る旅で、人間の身体と文明の関係を再考してみたい。
2. サウジの文化遺産を歩く|「身体の記憶」に触れる旅
2-1. 世界遺産①:ヘグラ(Madain Saleh)
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サウジ初のユネスコ世界遺産
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ナバテア文明(ペトラ遺跡と同系統)
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巨岩に刻まれた神殿と墓標
体感:
岩に刻まれた古代文字の前に立つと、背中にずしりと重力が来た。
腎と肝が深く働き、「祖先の記憶」が流れ込むような感覚。
これは、身体が「長い時間の中に立つ」体験。
2-2. 世界遺産②:ディライーヤ遺跡(Diriyah)
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サウジ王国発祥の地
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泥レンガ造りの街並み
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伝統音楽と舞踏、コーヒー文化も根付く
体感:
地面に近い建築物に触れ、呼吸がゆっくりと腹の底まで届く。
「低い視点」に身を置くことで、脾と肺が安定する。
まさに、東洋医学でいう気が下がる感覚を得た。

2-3. 世界遺産③:アスィールの山村群
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ユニークな石造りの山岳建築
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女性たちが描く壁画「Al-Qatt Al-Asiri」
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世界的に評価される地域文化の保存力
体感:
標高が高く涼しい場所に身を置くと、頭がクリアに。
風が通ることによって、心包・三焦・肝の経絡が整っていく。
2-4. 世界遺産④:アルウラとヘグラ遺跡|時間と風が造った遺産
サウジアラビア初のユネスコ世界遺産に登録された「ヘグラ(Madain Saleh)」は、古代ナバテア王国が築いた墓所都市であり、アラビアのペトラと称される奇岩遺跡群が特徴です。
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紀元前1世紀〜1世紀にかけて築かれた
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ナバテア人(ヨルダンのペトラ遺跡と同じ文明)が切り出した精緻なファサード(墓の入口)
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墓所の数は100以上、巨大な岩山に直接彫り込まれている
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風と砂が造形した自然の芸術と人工の神殿が融合

🌍アルウラ観光の見どころ5選
| スポット名 | 特徴 |
|---|---|
| ヘグラ遺跡(Madain Saleh) | 世界遺産。岩に刻まれた王族の墓地。ガイド同行必須。 |
| エレファントロック(象岩) | 風食で象の形になった奇岩。夕陽とのコントラストが圧巻。 |
| オールドタウン(旧市街) | 泥レンガの家屋と香料のスーク。 |
| マルヤヤ遺跡(Maraya) | 世界最大の鏡張り建築。未来と伝統の交差点。 |
| ダダン遺跡 | 古代アラブの王国遺構。岩山に残るライオンの彫刻がシンボル。 |
🧘♂️身体で感じるアルウラ|地の気が湧く場所
アルウラに立ってまず感じたのは、「時間が圧縮された空気」。
目を閉じると、
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肩が下がり
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腰が安定し
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呼吸が静かに深くなっていく
これはまさに、脾・腎・肝が「大地と共振する」体感でした。
東洋医学的に言えば:
| 身体反応 | 経絡的解釈 |
|---|---|
| 背中が伸びる | 督脈が通り、精神が整う |
| 足が地に吸い付く | 腎経が地気と共鳴し、安定 |
| 目が冴える | 肝の気がめぐり、視界が澄む |
📸撮影&整うTips
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おすすめ時間帯:早朝〜午前中の光が岩肌を美しく染める
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呼吸整えスポット:エレファントロック裏の丘で、風の音だけに耳を澄ます
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足裏瞑想:裸足で岩に立ち、1分間じっと身体を感じてみると内臓の声が聞こえてくるような感覚に
🌿旅する鍼灸師のひとこと体感録
ヘグラの墓地の前で、ただ岩に背を預けて座っていた。
砂の粒が肌に触れ、風が髪を通り抜け、頭の中が「からっぽ」になっていく。そのからっぽの中に、自分の輪郭が浮かび上がってきた──
整うとは、空を思い出すことなのかもしれない。
🧭アクセスと旅のヒント
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拠点:アルウラ空港(リヤド・ジェッダから直行便あり)
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入場:ガイドツアー予約必須(VisitSaudiサイトで予約可能)
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滞在目安:2泊3日
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持ち物:帽子・日焼け止め・水分補給・サングラス(岩の照り返しが強烈)
3. 未来へ飛ぶ|NEOM(ネオム)という「構想の中にある都市」
3-1. NEOMとは?
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サウジが推進する未来型メガシティ構想(Vision 2030)
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総面積2.6万km²(東京の約10倍)
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「THE LINE」「OXAGON」「TROJENA」などのプロジェクトが進行中
NEOMのスローガンは「The future of living」
この都市は、人間とAIと自然が共生する未来都市である。
3-2. 見学体験レポート:THE LINE(ザ・ライン)
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幅200m、全長170km、高さ500mの線上都市
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自動運転・カーボンゼロ・水循環型エコ都市
体感:
現地はまだ建設中だが、ビジターセンターでの没入型映像体験は圧巻。
身体が“垂直に引き伸ばされる”ような感覚。
🧠東洋医学的に言えば、「督脈(背骨)を垂直に開く」=未来を見る身体のモード。
3-3. OXAGON(オクサゴン)|海上産業都市
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世界最大の浮遊都市計画
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物流、ロボティクス、研究所が海上で展開
体感:
陸という前提が崩れることで、脾(土)から腎(水)へシフト。
海に浮かぶ都市で考える未来は、身体を流動性に導く。
4. 「整う都市」とは何か?
NEOMの思想に触れていて、私の中でひとつの仮説が生まれた。
都市もまた身体であり、ツボがある。
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公園:呼吸のための肺経
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インフラ:腎経のように全体を支える
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情報網:心包・三焦として感情と連絡を調整
サウジの未来都市構想は、ただのテクノロジー都市ではない。
身体を整える構造モデルとして、全世界の都市開発に影響を与えるだろう。
5. 鍼灸師としてNEOMに立った意味
THE LINEの見学センターに立ったとき、私は自分の中にある時間の歪みが戻ってくるのを感じた。
過去から未来への“時間の気”が、身体の中心軸に通ったようだった。
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背骨(督脈)が垂直になり
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頭頂(百会)が熱を持ち
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腰(命門)があたたまる
つまりNEOMは、「身体の時間をチューニングする都市」になる可能性を秘めている。
6. 伝統と未来の間で|サウジという整いのフィールド
| 伝統遺産 | 未来都市 |
|---|---|
| 土の建築 | 鏡の壁面 |
| 祈りと呼吸 | AIと再生エネルギー |
| 地に根ざす暮らし | 浮かぶ産業と無人運転 |
この両者は対立していない。
むしろ、お互いを整える存在として、サウジの中に同居している。
祈りで整え、テクノロジーで支える。
──それはまるで、「手技」と「科学」が共存する鍼灸そのものではないか?
7. 体験者の声とQ&A
Q1. NEOMって本当に行けるの?
A. 一部地域は建設中だが、THE LINEの展示施設や説明会は外国人も参加可能(ジェッダ拠点に要確認)。
Q2. 絶景遺跡とNEOM、両方行くには?
A. リヤド or ジェッダ → アルウラ → NEOM建設地 or説明センター というルートが一般的。
Q3. 鍼灸師・整体師的にはどちらが整う?
A. 遺跡は「過去の身体」、NEOMは「未来の身体」。どちらも異なる経絡が刺激される。
8. まとめ|旅の終点は、自分という都市に帰ること
サウジを旅して気づいた。
人間の身体は、都市のようなものだ。
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情報が行き交う神経系は道路であり
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エネルギーを巡らせる経絡は鉄道であり
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呼吸のための広場も、感情のためのモスクもある
文化遺産は「自分の起源」に気づかせ、NEOMは「これからどう生きるか」を身体で問うてくる。
だからこの旅の最後に、こう記したい。
「整う都市は、自分の中にもある。」