エジプト

【第5回エジプトエッセイ】シワ・オアシス編|星空と塩湖と沈黙の治癒力

2025年12月12日

1. 「何もない」ことが、すべてを癒す

エジプトの最西端、リビアとの国境近くに位置するシワ・オアシス
ここは、ピラミッドも神殿もない。
けれど、何もないという贅沢が、どこまでも深く、私たちの心身を整えてくれます。

乾いた大地に湧き出す泉。塩湖に映る夕陽。
夜になると、満天の星が、ただ静かに降り注ぐ。
五感を取り戻す旅が、ここから始まります。


2. シワ・オアシスとは?

2-1. 位置と特徴

  • カイロから南西へ約750km(車で8~10時間)

  • 西方砂漠に浮かぶ“緑の孤島”

  • かつてはアレクサンダー大王も訪れた「神託の地」

2-2. 文化と人々

  • 先住民族のベルベル系シワ人が多数を占め、独自の言語・習慣を持つ

  • 素朴で温かい人柄/外国人にも親切


3. 行き方と滞在のヒント

3-1. アクセス方法

  • カイロから長距離バス or プライベートチャーター(休憩含めて10時間前後)

  • 途中は荒野が広がる一本道。食料・水・防寒具は必携

3-2. 宿泊スタイル

  • エコロッジ(粘土やパーム素材の自然建築)が人気

  • 塩湖近くのリトリート宿では瞑想・星空観察ができる

✅「Adrère Amellal」は電気なし&キャンドルの超ラグジュアリーエコステイ(要予約)


4. シワ・オアシスの癒しスポット10選

4-1. グレートソルトレイク(塩湖)

鏡面のように空を映す絶景スポット。
✅ 足を浸けると、エネルギーがスーッと流れるような感覚
✅ 朝焼け・夕暮れ・星空すべてが神秘的

4-2. クレオパトラの泉

かつて女王が入浴したとされる天然温泉。
✅ 地元の子どもたちも水浴びしている憩いの場
✅ 身体を浸すと、血行が一気に巡る感覚あり

4-3. 神託の神殿(アムン神殿跡)

アレクサンダー大王が“神の子”の認定を受けた場所。
✅ 神殿跡に立つと、風が突然止まり、気配だけが残る不思議な感覚

4-4. シワの旧市街(シャリ要塞跡)

かつて泥と塩で作られた要塞都市。
✅ 夕陽の時間に登れば、オアシス全体を見渡せる絶景

4-5. 塩の泉(Floating Salt Pools)

死海のように体が浮く、不思議な塩泉。
✅ “地球に浮かぶ”ような体験で、筋肉の緊張がほぐれる

4-6. サンドボード体験(砂丘)

✅ 童心に返る快感/体幹バランスや呼吸法にもつながる

4-7. 温泉&冷泉ツアー(Desert Bathing)

砂漠の中に点在する泉をめぐるヒーリングアクティビティ
✅ 温冷交代浴で自律神経が整う感覚を実感

4-8. 星空観察(ナイトツアー or 自由観察)

✅ 音も灯りもない、完全な闇の中で見る星の多さに言葉を失う

4-9. シワ市場(Souq)

ローカルなデーツ、オリーブオイル、塩、手工芸品が並ぶ小さな市場
✅ 質が高く、温かいコミュニケーションも魅力

4-10. ヌビア砂漠のサイレント・ウォーク

✅ 音を立てずに沈黙で歩く瞑想トレッキング
✅ 大地と一体になるような、整う体験


5. 鍼灸師の視点|沈黙が氣の治癒を促す

シワでは、ほとんど会話をしませんでした。
なぜなら、沈黙の中にこそ、整える力があると感じたからです。

  • 塩湖での無音の瞑想

  • 神殿跡での音なき共鳴

  • 星空の下での氣の統合感

この地は、東洋医学でいう「腎」と「肺」を強く整える場所。
腎=生命力の源(塩・水・静寂)
肺=呼吸・感情の浄化(風・空・涙)

滞在中、呼吸は深まり、目は澄み、感情がほどけていくのを体感しました。


6. Q&A|旅の注意点とヒント

Q. 1人でも行けますか?
A. 行けますが、アクセスが特殊なのでツアーやガイド付きが安心

Q. Wi-Fiや電波は?
A. 多くの宿では不安定か圏外。“つながらない”時間を楽しむ覚悟が必要

Q. 食事はどう?
A. オーガニックなオリーブ・デーツ・野菜・羊肉中心。優しい味が多いです。


7. まとめ|「何もない」からこそ、すべてが整う

シワ・オアシスは、エジプトの中でも異次元の体験ができる場所。
遺跡も観光名所も超えて、「沈黙の中で自分に還る旅」が、ここにはあります。

呼吸が整い、感情がほどけ、魂が静かに目を覚ます。

それはきっと、旅する鍼灸師が最後にたどり着く氣の聖地なのかもしれません。

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