サウジアラビア

【完全ガイド】イスラムの聖地マッカ・マディーナの静寂と祈り|異文化体験の旅

2025年12月19日

1. 信仰という旅のかたち

旅の目的には、観光、食、癒し、冒険──さまざまありますが、「祈り」を目的とする旅があることを、私はサウジアラビアを訪れて初めて実感しました。
マッカ(メッカ)とマディーナ(メディナ)は、イスラム教において最も神聖な二都市。世界中のムスリムが一生に一度は訪れることを願う巡礼地でもあります。

そして、この祈りの地に異教徒である私が立つことができたのは、マッカには入れずとも、マディーナが静かに受け入れてくれたからでした。
本記事では、この二つの聖地を巡る祈りの旅を、文化と尊敬の視点をもってお届けします。


2. マッカ(メッカ)|ムスリムのみが足を踏み入れられる最聖地

2-1. カアバ神殿とハラーム・モスク

マッカにある「マスジド・アル・ハラーム(Haram Mosque)」は、イスラム世界最大のモスクであり、その中心には黒い立方体「カアバ神殿」が鎮座しています。

これは「世界の中心」とも称され、すべてのムスリムが1日5回の礼拝時に顔を向ける場所。巡礼者はカアバの周囲を7周する「タワーフ」を行い、精神と肉体の浄化を願います。

注意:非ムスリムはマッカ市内に入ることができません。
道路標識にも「Muslims Only」と明示され、間違って入ろうとすると警備隊に止められます。

2-2. マッカを外から観るという旅

私はリヤドからジェッダへと向かう途中、巡礼者の白装束を着た集団に何度も出会いました。その姿は、旅ではなく「魂の帰郷」を感じさせるものでした。

観光地ではなく、祈りの地。
マッカは「行く」のではなく、「受け入れられる」のを待つ場所なのだと理解しました。


3. マディーナ(メディナ)|預言者の眠る静寂の都

3-1. マスジド・アン=ナバウィ(預言者のモスク)

マディーナにある「マスジド・アン=ナバウィ(預言者のモスク)」は、ムハンマドが眠る場所。巨大なドームと美しいタイル装飾、そして精巧なカーペットに覆われた床が、訪れる者を別世界へ誘います。

🔔 非ムスリムはモスクの内部には入れませんが、外周までは自由に近づくことが可能です。礼拝の合間に、広場で地元の人と会話する機会も。

3-2. マディーナ旧市街とナイトマーケット

モスクの周囲には、古くからのスーク(市場)やナイトバザールが点在しています。香辛料、デーツ、イスラム書道アートなどが並び、まるでアラビアンナイトの世界に入り込んだよう。

  • 香水屋(アター):アルコールフリーで香り高く、ムスリムに大人気

  • アバヤショップ:現地女性の装いに触れるチャンス

  • ローカルレストラン:断食明けのイフタール料理を体験できる


4. 旅する鍼灸師の視点|祈りの場に宿る身体感覚

私がマディーナで感じたのは、「祈りの姿勢は、治療姿勢でもある」ということです。背筋を伸ばし、深く呼吸し、地に座る。その姿は、まさに身体が整うための基本姿勢なのです。

道端で礼拝する若者。自転車を止めてコーランを読み始める老人。彼らの背中はまっすぐで、呼吸は穏やかで、目には力がある。

中医学で言えば、「腎が満ち、肝が柔らかく、肺が落ち着いている」状態。

祈ることは、身体の神経系を鎮め、呼吸を整えるセルフヒーリングだと気づきました。


5. 異文化体験としての祈りの旅の意義

5-1. 非ムスリムとしての礼儀と学び

私たちがこの地を訪れるとき、観光客ではなく「訪問者」としての姿勢が求められます。

  • モスク周辺では静かに、礼拝者の動線を妨げない

  • 写真撮影は控えめに。許可を取ってから

  • 会話の際には「Salaam(こんにちは)」や「Shukran(ありがとう)」などの挨拶を覚えておく

5-2. 自分自身の無宗教性を見つめ直す旅

日本では「無宗教」を自認する人も多いですが、マディーナにいると「祈ることが日常にある世界」の中で、拠り所を持つ人々の強さに圧倒されます。

祈ることで心が安らぎ、共に祈ることで孤独から解放される──
これは現代社会に生きる私たちにも、必要な内なる旅ではないでしょうか?


6. 現地体験|私が体感したマディーナの3日間

📅 Day1:静寂のモスクの外縁で感じた境界

夕方に到着したマディーナ。空港を出ると、すでに夕礼拝が始まっていました。私はモスクの外周に立ち、座り込む信者の群れに混ざり、静かに深呼吸してみました。

その瞬間、頭の中のノイズがすっと消え、世界が音と光で満ちていくような感覚がありました。


📅 Day2:市場での出会いと、遠くからの礼拝

スークを歩いていたとき、一人の店主が「あなたムスリムじゃないでしょう?」と笑顔で声をかけてきました。
「それでもここに来てくれてありがとう」と言われたとき、涙が出そうになりました。

モスクの方角を向いて、遠くから彼らと一緒に心だけの礼拝をしました。


📅 Day3:最後の夜、祈りの波に包まれて

深夜2時。モスク周辺は人で溢れています。眠る人、祈る人、泣く人、静かに黙想する人。
その姿に、生きていること自体が祈りなのだと感じさせられました。


7. 実用ガイド|マディーナの旅を成功させるために

項目 詳細
滞在日数目安 2〜3泊が理想。日没から夜が最も美しい
ホテル選び モスク徒歩圏内がベスト。朝食付きがおすすめ
移動 Uberまたは徒歩。夜でも比較的安全
服装 女性:アバヤ+スカーフ、男性:長袖長ズボン推奨
会話 英語OK。挨拶アラビア語を覚えると好印象
治安 非常に良好。モスク周辺には警備が常駐

8. Q&A|よくある質問

Q1. 非ムスリムでもマディーナに泊まれますか?
A. 可能です。ただし一部ホテルではムスリム限定の場合があるので事前確認を。

Q2. マッカには行けないの?
A. 非ムスリムはマッカ全域に立ち入れません。GPSで制限管理されています。

Q3. カメラ撮影は大丈夫?
A. 一般的にOKですが、モスク付近・礼拝中の撮影は控えましょう。


9. まとめ|心の奥に届く、沈黙と祈りの旅

ジェッダが開放の海だとすれば、マディーナは内省の静寂。
この地に立つことで、自分の足元と心の内側を見つめる時間が始まります。

祈りの姿勢が教えてくれたのは、「整うことは、祈ること」。
人が自分と向き合う時間を持てたとき、その旅は人生を変える旅になるのです。

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